イヤリングのすゝめ


「イヤリングは無いの?」
お客様からよく聞かれます。
そのお言葉を伺うたび、自分のマヒした感覚に気づき驚きます。

ジュエリーに関わるお仕事をしているとファッション関係、プレス関係、同業者と人と接する機会は多く出会う女性はたいていピアス穴が開いてます。
しかも片耳1つずつに飽き足らず、2コ3コ軟骨にビッグサイズ、とおしゃれ上級者もちらほらと。
いつの間にかそれが当たり前になり、ついつい耳回り=ピアスというイメージが無意識に出来上がってしまっていました。

でもそうでした。

年代にかかわらずピアス穴が開いてない方のほうが割合として多いのです。
耳もとのおしゃれを楽しみたいのにイヤリングがなかなか見つからず、歯がゆい思いをされるお客様もいらっしゃるはず。
さらに先日会った小さい子供のいる友人にも言われました。
「抱っこした子供に引っ張られてもすぐに外れるので怪我をする心配がない」

なるほどなるほど。確かにそうだ。


そんなわけで、通常ピアスで販売している商品をイヤリングの変更する試作を行いました。me.ieはファクトリーブランドです。普段見て頂く機会はほとんどない製作工程を少しだけご紹介します。



イヤリングは本体がある程度大きさのあるシリーズの方が仕様変更がしやすく、クラシカルでいい感じの雰囲気になります。
今回「Stitch」というシルバーのシリーズで挑戦です。

製作工程は大きく分けると
1、イヤリングパーツと本体をロウ付け
2、パーツに刻印を押す
3、仕上げてメッキ
4、柄を入れた中身をドッキング
です。試作なので本当にちゃんとした形になるかは作ってみないとわかりません。
思わぬハプニングや生産上の不具合が出たりします。まずは挑戦。



1、イヤリングパーツと本体をロウ付け 
イヤリング金具は2つのパーツに分かれています。
今回は火を当てるので2パーツですが、火を当てることは稀なのでくっついている金具がほとんどです。



イヤリング金具のバネが入っていない方のパーツに銀ロウを置いて半分溶かしておきます。




金具の蝋を溶かした部分が本体裏側のちょうど真ん中にくるようピンセットで固定。
火を当ててロウを溶かすとくっつきます。
火は弱すぎるとロウが溶けないし、強すぎると本体が溶けたり変色を起こしたりするので注意が必要です。
職人は当たり前のようにやりますが、シルバー製品や細いもの小さいものは溶けやすいので気を抜けません。



2、刻印を入れる


この角度で写真を撮ると、刻印棒がアヒルに見える…。
金種シルバー「925」とme.ieのロゴ「≒」を入れます。
刻印は一発勝負なのでとても緊張します。


えいやっ!




おお、まずまずの感じで打刻できました。
写真では分かりづらいですが上が「925」と下が「≒」がです。

あとは台座から外してヤスリで仕上げの手直し、イヤリングのバネパーツをドッキングさせると記事TOPの画像のようになります。


もう完全にイヤリングですね。作っている本人出来上がってもやや浮かれます。

ここまでの工程が終われば商品化は特に問題なく行えるかと思います。ロウ回り不足を埋めたり、イヤリングバネの調整をしたり、ちょこちょこ細かい調整が必要ではありましたが。試作は手探りですからね、大変かつ楽しい作業です。



今回はここまで。
この後メッキされて戻ってきた商品にもうもうひと手間加えて完成です。(実はまだメッキされていない…)
完成までの様子はまた別の機会に。


アジサイといえばピンクと青が一般的ですが白も楚々としてて素敵。
湿気が多いのは困りものですが、毎年アジサイが咲くのをとても楽しみにしています。


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